記憶の宮殿なんて脳内に持てないから、外部に記憶。


by sakanapo

シグルイ

シグルイ 1 (1)
南條 範夫 山口 貴由 / 秋田書店
ISBN : 4253230431



「失うことから、全ては始まる。」

今自分の中では最もアツい漫画、「シグルイ」。
前々からよくネタにされてるのは知ってたけど、特に興味ないんで
スルーしてたのがシグルイポンポコリン*1で陥落しました。

*1:検索すればすぐ見つかりますが、暴力・グロ満載です。
   自分の適性を考えてからどうぞ。

ポンポコリンを見たとき、ストーリー知らないから笑いどころが
いまいち分からないながらも、ラスト3~4枚の絵に魅かれた。すごく。
(1巻の御前試合での藤木と伊良子の登場シーン)
残酷残酷言うわりに意外に絵がきれいで、気迫を感じる画面。
かっこえーなーって素直に思いました。
最後のカラー見開きはちょっとびびりましたけど。ふんどし一丁の
男2人が小腸チラ見せしながら血まみれで舞ってましたから・・・

ストーリーはかいつまむとこんな感じ。
江戸初期、稀代のサディスト徳川忠長が血を見たいがために催した
真剣による御前試合。第一試合で対峙するのは、左腕のない藤木源之助と、
盲目・跛足(片足が不自由)の伊良子清玄。
試合にならないのではとざわめく周囲をよそに、2人は鍛え抜かれた肉体で
必殺の構えを取る。
以降、2人にまつわる因縁話が続き、未だ試合の行方は不明。

2人はかつて濃尾無双と言われた虎眼流剣術の同門であった。
道場破り同然に現れ、流派の跡継ぎと目されていた師範代の藤木を
軽くひねって入門してきた伊良子。藤木の影はすっかり薄い。
師匠の岩本虎眼は今や認知症の老人であり、ほとんどの時間「曖昧な」
状態にある。が、剣を握れば額につけた小豆を十文字に切る腕前の持ち主。
でも直後にお漏らし。
虎眼の娘・三重の婿となって虎眼流を継ぐことを望み、それを足がかりに
さらなる栄達を夢見る野心まんまんの伊良子。
剣士としてのプライド+三重へのほのかな思いから
伊良子に負けじと異常な鍛錬を自らに課す藤木。
やがて虎眼は「た、種ぇ」とか言いながら伊良子を跡目に選ぶ。
屈辱の藤木。
藤木、辛いことに耐えてる時は鼻血がちらりと出る。でも無表情。

が、実は伊良子は虎眼の愛妾・いくと逢瀬を繰り返していた。
これが虎眼に露見し、「流派の秘剣・流れ星を伝授する」との口実で
伊良子を呼び出し一門全員でお仕置き。虎眼は流れ星で伊良子の
両目を切り裂き、いくとともに追放する。
-3年の時が経ち、伊良子の復讐が静かに始まった-
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現在6巻まで刊行されております。
非常にグロいシーンが多く人を選ぶとはいえ、強烈な魅力があるのも確か。
登場人物はみな行動規範が我々と違いすぎ・・・といえば聞こえはいいが
要は狂気に満ちています。1巻冒頭、いきなり忠長の首チョンパ+
陰腹切って内臓引きずりだしシーンから始まるくらいだし。
というか、終始一貫この調子です。

「武士道は死狂ひなり」という葉隠の一節がタイトルの由来のようですが
彼らの狂い方は個人的資質+武士道的論理が混じり合っていて
なにもかもが理解できない範疇まで飛んでいってます。
ただそれに慣れちゃうと、迫力ある絵柄や強烈なキャラクターたちに
はまってしまう。特に虎眼先生の、曖昧モードの奇行ぶりと剣士モードの
恐ろしさのギャップとかたまらない。
伊良子お仕置きの際に虎眼先生が流す涙、実は伊良子に裏切られた
悔しさからではなく、流れ星の構えで思い出した全く別件の思い出の
無念さが蘇ってきただけ、だったりとかとにかくぶっとんでる。

主人公2人は、一見、美形の悪役=伊良子、正義のヒーロー=藤木、という
図式に見えますが、野心という動機面からすれば素直な行動をとってて
わかりやすいのは伊良子の方。おびえたり人間臭いところも見せます。
一方、藤木は静かに狂っているというか、あまりに無口で考えが全く読めず
ひたすら怖い。彼が唯一笑みを見せたのは、伊良子お仕置きの時のみ!
焼け火箸を握らされても表情ひとつ変えない。(でも鼻血は出る)
帯刀した浪人たちを素手で殴り殺した藤木を見て「あこがれの剣士の姿だ」
と涙まで流す15歳の涼之介くんを心から説教したくなります。
ヤツはやばいって!

ささいなことですが、伊良子お仕置きの際の「焼き鏝」が「焼き鰻」に
見えてしかたなかった。おなかすいてたんですかね。

単行本ではまだ彼らが隻腕・跛足になった理由は不明。
おそらく、次に2人が剣を交えたときにそうなるのでしょう。

一通り読んでからシグルイポンポコリンを改めて見るとまたサイコー。
しばらく家で「むーざんむーざん♪」とよく歌ってました。
絵的に印象的なコマをうまく抜粋してるなーと思います。
二輪とか、「でかした!」とか。

小腸ちらり度 ★★★★☆
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by sakanapo | 2006-05-12 09:44 | 読書日記