記憶の宮殿なんて脳内に持てないから、外部に記憶。


by sakanapo

イヴリン・ウォー「ブライヅヘッドふたたび」

ブライヅヘッドふたたび
イーヴリン ウォー 吉田 健一 / 筑摩書房
ISBN : 4480024514
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「パイロットの妻」を読んでて、どうもジュリアという名のおばあちゃんに
違和感があるなと思ったら、この小説のせいで、私の中でジュリアって
いうと若い美人イメージだからだってことに気づいた。

なぜこの本を読んだかというと話はかなり前にさかのぼって。
学生時代の一般教養の英語の授業でイギリス文学専攻の成田先生が
とりあげたのがE.M.Forsterの「A Room with a View」。これを1年かけて
読んでいきました。そういえばペーパーバックを読むのに抵抗が
なくなったのってこの授業のおかげかもしれない。
で、この作品は映画にもなったしまぁ取り上げるのもわかるけど、翌年の
題材はなんとEvelyn Waughの自伝「A Little Learning」でした。
マイナーな作家な上に作品ならともかく、自伝かよ。
たぶん今でも未邦訳じゃないかな?
当時は彼の作品もひとつとして知らず、いきなり知らない作家の子供時代の
回想を訳させられて戸惑った覚えがあります。
ただ、読み進めていくと、ガラスかなにかについてだったと思いますが、
美しいものの描写がきれいだなという印象を持てたので、作品の方も
読んでみようとまず手にとったのが「ブライヅヘッドふたたび」でした。

あらすじはというと。
1920年代、オックスフォードに進学したチャールスはマーチメーン侯の次男坊
セバスチアンと出会い、その美しい外見、奔放な行動、純粋さに魅せられる。
カレッジや彼の屋敷であるブライヅヘッドで華やかな楽しい日々を過ごすうち
いつしか彼らは親友になった。
だが、家族や宗教に相克をかかえるセバスチアンが酒に溺れ破滅していくのを
チャールスはただ見ていることしかできなかった-

ジュリアはセバスチアンにうり双子の妹ですごい美人。後にチャールスは
彼女と不倫をしちゃいます。そのきっかけとなる状況がすごいんだこれが。
豪華客船で旅に出たら昔懐かしいジュリアとばったり。向こうは夫がいるけど
1人で乗っていて、チャールスは奥さんと一緒。ところが、すごい嵐に
巻き込まれ、乗客のほとんどは船酔いのため食事もとらず自室に
こもっちゃいます。
もちろんチャールスの奥さんも。が、なぜかジュリアとチャールスだけは
全く船酔いをせず、がらんとした船内をなんとなく2人ですごすうちに・・・
という展開。
池澤夏樹がこの場面について書いてるエッセイがどっかにあったなあ。
読書癖かな。人一倍船酔いしやすい私にはこういう不倫は無理ですw

セバスチアンのキャラクターは破滅型だけどやっぱり惹かれるものがある。
貴族という属性によるところも大きいんでしょうが、とことん浮世ばなれて
ます。熊のぬいぐるみにアロイシアスという名をつけて持ち歩き、
話しかけてるあたりゴスロリ少女のハシリと言えなくもない。
そして彼らがする優雅な遊びの数々!ワインセラーから高価なワインを
いろいろあけて、その味を
「最後に生き残った一角獣だ」「洞穴に住む預言者だ」なんて適当な文章で
表現していったり、白ワインと苺をバスケットにつめてドライブ先の野原で
飲んだり・・・
「苺が一籠と車とシャトー・ペラゲーの白葡萄酒がある。君がまだ飲んだ
ことはないものだから、飲んだことがあるふりをしても無駄だよ。苺と一緒
だと天国の味がする。」とか一度言ってみたいですよ!
ん、私が憧れる遊びって全部酒がらみか?

イギリスでは人気小説らしくグラナダTVでドラマ化もされたそうな。
邦題はずばり「華麗なる貴族」。プゲラ。
見てみたくて"Brideshead Revisited"DVD購入を検討中。
日本語字幕はもちろんなし!英語字幕もあるかどうか!
私が持ってる文庫の表紙はその映像を使ってるぽく、金髪男性が熊の
ぬいぐるみを持っています。
そういえば映画化の話はどうなっちゃったんだろ。

この作品はシリアスで耽美ちっくだけど、「ポール・ペニーフェザーの冒険」
は軽くて(もうペニーでフェザーですし)ブラックなのですよね。
どうもそっちの方がこの作家の持ち味らしいです。私はこちらのが好きですが。

カトリックの相克が理解できない度★★★☆☆
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by sakanapo | 2006-01-20 14:51 | 読書日記