記憶の宮殿なんて脳内に持てないから、外部に記憶。


by sakanapo

北村薫 編「北村薫のミステリー館」

北村薫のミステリー館
北村 薫 / 新潮社
ISBN : 4101373299
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北村薫は「円紫さんと私」シリーズがかなり好きで
その作品でも文学への造詣が深いなーと感心しながら
読んでたので、彼が編んだアンソロジーなら期待できるなーと
ブクオフで購入。「謎」「こわい」「ミステリー館」と持ってて
「愛」だけ持ってないけど他意があるわけじゃなく見つからないだけ。

アンソロジーだから短編~中編なんだけど、知らない作家が
いっぱいで、一生で読める作品なんてほんと限られてるなあと
思ったり。
ミステリー館で印象に残ったものをいくつか。

■原倫太郎/原游「少量法律助言者」
これは卑怯!卑怯なんだけど笑ってしまう。要はWebサイトにあるような
自動翻訳で「一寸法師」を和→英→和と翻訳していったという設定ですが
(実際はかなり手が入ってるはず)あのかみあわなさ、シュールさが
たまりません。「一寸法師→a little law mentor→少量法律助言者」
なわけです。挿絵も秀逸。
特にウケたのが「まかりこすることを~→be able to makariko→
まかりこすることができる」。
和訳は変わっていないんで「ほう」と思って英訳見たらぶっとびましたw
他にも「かぐや姫-As soon as it smelled,princess
-それが臭いをかがれるとすぐにプリンセス」などの品があるようです。
電車の中で吹き出す度★★★★★

■奥泉光「滝」
宗教団体の修行として、10代の少年5人が苛酷な山岳行に挑む。
が、待ち受けていたのは神意に見せかけた人間の悪意だった。
肉体とともに精神の疲労が限度を越す中、リーダーの勲がとった行動とは。

これなんてボーイズラブ小説?という部分はさておき。勲=タッキーでイメージして
読みました。裕矢は柳楽優弥くんかな!緑と水にかこまれて爽やかに始まる
お話なのにどんどん暗く重くどろどろと…。
勲は手紙を読んでなお左端を引いたんじゃないかと思いますが。
止めを刺すのは大人しい奴度★★★☆☆

■ジェーン・マーティン「バトン・トゥワラー」
村上春樹訳。なんていうか、何事かを極めた者の語る言葉は深い。
経理部のサラリーマンだって年度末のPC画面を通して神が見えるとき、
あると思うなあ。
トゥワラーの女性が暗がりでスポットを浴びて語り始め、
バトンを残して退場していく構成が映像的に美しい。
読者に向けて文字通りバトンタッチって気分がよく出てる。
全裸流血デスマッチ度★☆☆☆☆
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by sakanapo | 2006-01-27 11:10 | 読書日記