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記憶の宮殿なんて脳内に持てないから、外部に記憶。


by sakanapo

伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」

爽やかに読めたけど、ミステリーだと思って読むより、青春小説だと
思って読んだら意外とミステリーでもあったなぁというくらいの
心構えで読んだ方が幸せになれそうな気がした。



ミステリーというジャンルを念頭に置いて読むと
叙述なりなんなりのトリックをどうしても考えてしまう
スレた読者は、きっと作者にきちんとハメられることができないと思う。
ハメられてこその面白さが肝な作品なので、「ミステリー」と
銘打つこと自体がある種のネタばれになるのではないかしらん。

で、そのハメられ爽快感を味わえなかったスレた読者としては
その「肝」を抜いても楽しめる作品かというと、ビミョーでした。
軽妙なタッチの会話、嫌味なところのないキャラクターたちは
読んでいる最中の喉越しはとてもよいです。
ただ、キャラクターに深みがないというかライトノベル的というか
いかにもとってつけたような人間味というか…
河崎にしろドルジにしろ琴美にしろ麗子さんにしろ、造られた
キャラクターだなぁという印象が最後まで拭えませんでした。

そして作者のブータン礼賛がちょい鼻につく。
トリックに関係あるといえばあるんで、ブータンを登場させること
自体については何も文句はないんだけど。
by sakanapo | 2008-01-21 23:28 | 読書日記