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記憶の宮殿なんて脳内に持てないから、外部に記憶。


by sakanapo

映画「バベル」

アカデミー賞助演女優賞に菊池凛子がノミネートということで
知名度は高いのに、意外とヒットしたとも聞かず、身近で見た
という人もいないこの作品。

内容はというと、モロッコのアメリカ人観光客と現地の少年、
メキシコに帰郷したアメリカ在住のベビーシッター、日本の女子高生という
一見独立したそれぞれのストーリーを一発の銃弾が1つに
つないでいくというもの。

感想らしい感想が持てない。面白くないわけではないが
そんなにいい作品だとも思わない。見ていてあまり楽しくない。
深読みしていろいろ分析したところで感想は変わらない。

・菊池凛子脱ぎすぎ。愛と理解に飢えた女子高生は語る言葉を
 持たないゆえに、関心を持ってもらう手段として脱ぐ。手っ取り早い
 アプローチとして脱ぐ。 相手が見知らぬ高校生だろうが治療中の
 歯医者だろうが、初対面の刑事だろうがとにかく脱ぐ。
 こういう役柄とは知らなかったのでちょっと驚いた。

・「バベル」というタイトルから、コミュニケーション不全とかそれ系の話が
 メインなのかと思ったけど、特に深読みしなければそれがあてはまるのは
 ストーリーの本筋から一番離れた日本のエピソードくらい。見せ方が
 どぎつすぎるし共感もできないけど(日本人・聾唖者への侮辱だとも
 思わないけど)。
 ラストで映る都心の高層マンションが「バベルの塔」か。

・「バベルの塔」の本来の意味通り「言葉が通じない世界」につなげると
 モロッコにおけるアメリカ人観光客、メキシコにおけるアメリカ人の子供2人、
 聴覚障害のチエコと言葉でのコミュニケーションができない場面は非常に多い。

・メキシコやモロッコ少年のエピソードではアメリア(だっけ、ベビーシッター)の
 台詞「悪いことをしたわけではないの、ただ愚かなだけ」に集約されそう。
 悪意がなくとも悲劇は起きる。(アメリアと子供を荒野に置き去りにした時の
 甥っ子は半ば故意だと思うが)

・ちょっと外れた感想になるけど、アメリカそのものの光景をほとんど描かないことで
 余計にアメリカの影を非常に感じる映画だった。アメリカ人あるいはアメリカに
 深く関わる登場人物がこれだけ多いのに(夫婦を含めたアメリカ人観光客、
 メキシコからアメリカにやってきて不法就労しているベビーシッター、アメリカ人の
 子供など)アメリカが舞台になっている場面は異常に少ない。
 そして、一番関係なさそうな日本のエピソードでも、クラブシーンやドラッグなど
 あえてアメリカの強い影響下にある文化をとりあげていたりする。
 でも直接は描かない。世界中に及ぶアメリカの支配力を匂わせたかったのか
 何かアメリカを責めたい気持ちがあるのか…こういうところが妙に気になってしまった。

・チエコが刑事に渡したメモの内容は最後まで明かされないまま。
 走り書きした割にはすげえ長え!ただの告白なのか、それとも愛や理解を
 求めても与えられないいらだちや孤独を書き連ねたものなのか、はたまた
 母の死の真相を綴ったものなのか。
 個人的には後者に近く、自分が母の自死に何らかの責任を感じているという
 内容を含んだものと予想。さらに深読みして、友人への「あんたの父親と寝てやる」
 という台詞、父親とのぎくしゃくした関係から、過去に父親と何かあったのでは…?
 それが母親の死に…と妄想はひろがりんぐ。
by SAKANAPO | 2008-02-28 12:58 | 映像・観劇