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記憶の宮殿なんて脳内に持てないから、外部に記憶。


by sakanapo

佐々木倫子・綾辻行人「月館の殺人」

月館の殺人 上 IKKI COMICS
佐々木 倫子 綾辻 行人 / 小学館




単行本完結記念。
テツヲくん(鉄道ヲタ)達の世界わかんねーよ!
という意味では、主人公の女子高生、空海(そらみ)と似たような立場で
読ませてもらった。沖縄から話が始まるんだけど、ゆいレールがない頃の
沖縄ってまじで移動大変だったな~とか思い出しました。
特に慶良間に行くため泊港を経由しなきゃいけない時。

綾辻作品は館シリーズをほぼ読破。安心して読める水準を維持していて、
安定した作家さんだなという印象。ただ、全作品ブクオフに
売っちゃってますがw 時計館と十角館くらい残しといてもよかったか。
佐々木作品は「動物のお医者さん」を持ってて「おたんこナース」も読んだ。
一歩引いた感じの笑いとやたら硬質な絵柄が好き。

で、この作品ですが。
まずタイトルでやられましたねー。てっきり「館シリーズ」かと思わせて
足元をすくう。ヒドイw
ちゃんと手がかりは漫画中で表現されていて、やろうと思えば読者が推理できる
つくりになってるし、ストーリーも小ぶりながら骨組みはちゃんとしてる。
相変わらず佐々木調の細かいギャグも多くて面白く読めました。
ただ、サブテーマの「テツ」が全く理解できないので作品全部を楽しみきれて
ない感じがぬぐえませんが。

「問題編」と「解決編」に分かれており、「私わかった-」以降は解決編。
紙色が違うのが解決編の目印です。
自分で推理したい人はそこでストップして読み返してみよう。

犯人とメイントリックは大体わかったつもりだったけど、○○を殺したのが
△△だというのは読みきれませんでした。○○が×れ×ってたと
いうのも予想外。むーん、なるほどねー。

ちょっと短いかなって思うのは、テツ的薀蓄をささっと読み飛ばしてるからかなぁ・・・
ディック・フランシスとか京極夏彦ほどには、異質な世界のカルト的知識を
興味引くように描けてない、というか、テツ知識もなく、テツヲ君たちに圧倒されて
「引く」空海と一般的な読者のシンパシーを高めるために、わざとそのように
描いていないのだと思いますが。

空海が「相続の条件はこのテツの中から結婚相手を選ぶこと」だと勘違いする
あたりは、おそらく綾辻の活字だけではイマイチだった部分。佐々木の
絵柄が入ることで、笑えもし、なさそうでありそうな感じが出てました。
by sakanapo | 2006-09-13 09:05 | 読書日記